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©Hitomi_SATO

仮想の庭―うつり

UTSURI - Virtual Garden

演出・振付・デザイン

天児牛大

舞台美術

中西夏之

音楽

加古隆・吉川洋一郎

舞踏手

天児牛大・蝉丸・岩下徹・竹内晶・

市原昭仁・栩秋太洋・長谷川一郎

共同プロデュース

パリ市立劇場 / 財団法人

びわ湖ホール / 山海塾

初演

2003年 パリ市立劇場

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©Laurent Philippe

風がそよぐ。葉、木々のざわめきが聞こえる。こぼれる光すら聞こえてくる。庭の中には、耳を傾ける生き物。おしゃべりをする生き物。水底の生き物たちの鼓動。そよぐ風を指で、皮膚で、体全体で感じる。
 『仮想の庭―うつり』で、天児は、踊りの作品に必ずしもドラマティックな物語や展開が必要ないこと、ひとつひとつの細やかな振りの積み重ねの中にこそ踊りがあるのだということを教えてくれた。腕を手首から落とす。ひじから落とす。そのほんのわずかな時間の中にこそ踊りの本質が詰まっているのだといいたげな天児のソロ。体を静かにひねるだけで地球が四半回転し、まわりの大気も回転する。天児が体重を後ろにずらすだけで、海が、引き寄せられる。手首をかえす、この中に世界はあったりもする。
 仮想の庭に花がさ咲いている。天児、踊りの原点に戻る。

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